DIYとは、英語の「Do It Yourself」の略語で、「他人に任せず自分でやる」という意味です。
最近では、ホームセンターやインターネットで道具や塗料を気軽に揃えることができるので、メディアで特集が組まれるほど注目を集めています。
世代問わず人気のDIYですが、外壁塗装の場合はデメリットが多くDIYはあまりお勧めできません。
このページでは、外壁塗装のDIYがおすすめ出来ない理由を説明します。
「自分で塗ると楽しそう」「自分で塗った方が安く済みそう」などの理由で、外壁を自分で塗ってしまおうと考えている方も少なくないのではないでしょうか。内装を塗り替えたり、建具や家具を塗り替える場合は問題も出にくいですが、外壁塗装となると話は別です。
外壁塗装は、美観を保つためだけではなく建物自体を紫外線や雨、風などから保護し、建物の耐久性を維持することを目的としています。そのため、作業工程には細心の注意が必要となるため、外壁塗装のDIYをお勧めしない理由として以下の理由があげられます。
2階建ての場合、家の高さは7~9mもの高さになります。そのため、プロの職人でも安全を考慮し、足場を設置して作業を行います。DIYで作業する場合、足場の保管場所を確保しなければいけず費用も高額なため、ハシゴや脚立を使い作業する場合がほどんとです。
ハシゴや脚立は足場のように、しっかりと固定されていないので、脚立が倒れた場合には大けがをしてしまう恐れがあります。また、屋根を塗装する際、足を滑らせ滑落してしまう危険もあります。
最悪の場合、命にも関わってきますので、ハシゴや脚立を使った塗装はお勧めできません。
外壁塗装を行う際、洗浄や下地処理を行ない、汚れやコケ、錆などを綺麗に落とし、ひび割れなどはコーキングで補修を行います。この作業が不十分だと、浮きや剥がれの原因につながり、雨漏りにつながる可能性があります。
また市販で売られているDIY用の塗料は、主に1液水性タイプなので、初心者の方でも塗りやすいというメリットはありますが、プロが使用する油性塗料に比べると、耐久性が劣る可能性があります。
仮にネット通販などで、プロ仕様の塗料を購入したとしても、各メーカーが定めている基準塗布量を守って塗装を行わなければいけません。
せっかく塗装をしたとしても、ムラなく 決められた厚みで塗ることが出来なければ見た目が悪くなるだけではなく、塗料性能を発揮することが出来ず耐久性も低くなってしまいます。
塗装業者に依頼し、外壁・屋根塗装を行った場合「洗浄」→「養生」→「下地処理」→「下塗り」→「中塗り」→「上塗り」と多くの工程が必要になります。
この工程をプロの塗装業者が行う場合、天候にもよりますが約2~3週間かかります。これを仕事をしながら一人で行うとすれば、土日等の休日を使い、休み返上で丸一日作業エをしたとしても、1ヶ月半~2ヶ月以上かかってしまいます。
外壁塗装の作業では、中腰の体勢が多く、重い塗料缶を運びながら作業を行います。慣れていないと、予想以上の重労働で筋肉痛をおこしたり、腰を傷めてしまう場合も多くまります。
そういった場合、作業時間が上手くとれず、完成までに半年以上かかってしまうという可能性も考えられます。
塗装を自分で行う場合、以下の道具を用意しなければいけません。塗料や揃える道具のグレードにもよりますが、全て揃えるとなるとおおよそ20~30万円かかります。
まずは建物に付着している汚れを洗い流します。汚れを落とさず塗装してしまうと、塗料本来の性能が発揮できず、短期間で塗装が剥がれてしまう可能性があります。
塗装の出来を大きく左右する工程のため、洗浄は入念に行いましょう。洗浄の方法には、以下のものがあります。
・家庭用の高圧洗浄を使用する
費用:10,000円~20,000円程度
高圧洗浄機は、手作業に比べて短時間で汚れを落とすことはできますが、費用大きくかかってしまうというデメリットがあります。
また、洗浄する箇所によって水圧を調整しなければ、建物自体を傷めてしまう可能性があるので注意が必要です。
・バケツに水を入れブラシで手作業で汚れを落とす
費用:1,000円程度
手作業で汚れを落とす場合、高圧洗浄機を使う場合に比べると費用は安く済みます。
しかし、ブラシで細かく擦りながら作業していかなければいけないので、作業には膨大な時間がかかります。また、ブラシを擦るための力や体力も必要になります。
外壁塗装は屋根の上に上ったり、手が届かない箇所を省いて作業するわけにはいきません。
そのため、業者に足場レンタルし組み立ててもらうか、ハシゴや脚立を用意し作業をします。
・足場を用意する場合
費用:月25万円程度
・ハシゴや脚立を使う場合
費用:5,000円~15,000円程度
足場を使用する場合、業者へ足場の設置を依頼することになりますが、高額な費用がかかってしまします。
そのため、費用を安く抑えたいDIYでは、ハシゴや脚立を使うこととなります。ハシゴや脚立のような足元の不安定な状況で行う作業は、事故等のリスクが非常に高いためお勧めしません。
います。養生の仕方によっては仕上がりに大きく影響してきます。
・マスカー
費用:幅300mm×長さ25mm 約180円×個数
幅1800mm×長さ12.5mm 約230円×個数
養生用シートとマスキングテープが1つになったものです。テープを張る作業と覆う作業を同時に行う事が出来ます。
・テーププライマー
費用:約1,000円×個数
コンクリートなど接着面が凸凹している箇所では、テープが張りつかない場合があります。そのような場合にテープと接着面の密着性を良くするために使います。
・ラスター
費用:約150~500円×個数
ホウキのように、細かな所に入ったホコリなどを取り除くために使う小さな刷毛のことです。
・ガムテープ
費用:約100円×個数
塗料には、ウレタンやシリコン、フッ素などの種類があります。選ぶ種類によって塗料の耐久性が大きく変わります。
・下塗り塗料(シーラー・フィラー)
費用:4,000円~11,000円程度(15㎏)
塗料の工程は化粧に例えられることがよくあります。下塗り塗料は、洗顔後に塗るローションの役割を果たします。
下塗り塗料を塗装面に塗布することで、古い塗装の細かなひび割れや劣化の補修し塗装面を整えることが可能です。また、下地と塗料をつなぐ接着剤のような役割があります。
外壁材は上塗り塗料を吸い込む性質があります。下塗り塗料を外壁材と上塗り塗料の間に塗布することで、上塗り塗料の吸い込みを止める役割を果たします。
下塗りが不十分だと、塗料の吸い込みが止まらずムラが出来てしまい仕上がりに大きく影響をしてしまいます。
ホームセンターでは、下塗り塗料が不要な中・上塗り塗料も販売されていますが、下塗り塗料を使用した場合と比べると、耐久性が低くなる可能性があります。
・中・上塗り塗料
費用:使用するグレードや商品により価格が異なります。
中・上塗りは化粧で例えると化粧下地やファンデーションの役割を果たします。
中・上塗りは、基本的には同じ塗料を使い塗装面に塗布していきます。中塗りは、上塗り材の補強や表面をなめらかに整える目的があります。
中塗りが終わると、最終工程の上塗りです。上塗りでは、中塗りで使用したものと同様の塗料を塗り重ねていきます。塗料をムラなく一定の厚みをつけることで建物の耐久性を高めます。
上塗りの出来によっては建物の見栄えはもちろんのこと、耐久性にも大きく影響してきますのでとても重要な工程になります。
・ローラーバケットセット
費用:3,000円程度
四角いバケツのような形をしています。容器の中に塗料を入れ、ローラーに塗料をつけて使用します。
容器の中には、網目状のネットが付いており、ローラーについた余分な塗料を落とすことができます。
・刷毛
費用:200円~500円
細かな面を塗装する際に使用します。
購入後は毛を軽くしごいて抜け毛やごみを落としてから、2~3回塗料を刷毛につけてはしごき刷毛をなじませてから使用しましょう。
・ローラーハンドル・ローラー
費用:700円~1,000円
広い面を塗装する際に使用します。
ローラーハンドルにローラーを取り付けて使用します。刷毛と同様に、購入後は手で毛の部分をしごき抜け毛やごみを取り除いてから使用します。
サイズや素材が様々あり、用途に合わせたものを使用します。ローラーの替えは10本で1200円程で販売されています。
・サンドペーパー
費用:150円
一般的には紙やすりと呼ばれているものです。サンドペーパーを使い鉄部のサビや古い塗膜を削り落とします。また、表面に傷をつけることで塗料が付着しやすくる役割があります。
サンドペーパーには、目の粗さによって番号が決められており、目に粗さが細かくなるほど数字が大きくなります。
外壁塗装では40~400番の間で使用することが多く、それよりも目が細かいものは使用しません。サンドペーパーでは落としきれなかったサビや古い塗膜には、ナイロンブラシやワイヤーブラシを使用します。
・コーキング材
費用:200円~700円_(300ml)
サイディングの継ぎ目の隙間や窓枠の周りを埋めるために使うゴム状の素材です。
コーキング材には弾力性を持たせるため可塑剤が含まれているものがあります。可塑剤が含まれているコーキング材の上から塗装を行うと、1~2年ほどで可塑剤が塗装面へ溶け出し塗料を変質させてしまうことがあり、これをブリード現象と呼びます。
このような現象を防ぐため、コーキング材を使用する場合ノンブリードタイプのものを使用するようにしましょう。
・バックアップ材、ボンドブレイカー
コーキング材の3面接着を防ぐ目的で使用します。隙間が浅い場合はボンドブレイカーを使い、隙間が深い場合はバックアップ材を使用します。
目地底にバックアップ材やボンドブレイカーを使用することで、左右の2面のみにコーキング材が付着します。
2面接着にすることでコーキング材の伸縮が可能なかぎり、建物の動きに耐えることが出来ます。
外壁塗装をDIYすることで、業者へ塗装を依頼する場合に比べ人件費や交通費などの諸費用が掛かりません。道具や材料の費用のみで塗装が完了するため安く抑えることが出来ます。
プロに任せるよりも作業に時間は掛かってしまいますが、ペンキを調色し自分好みの色で塗装をしたりと全ての作業を自分で行うため、建物に愛着がわきやすいといったメリットもあります。
DIYで外壁・屋根塗装を行うことで、費用の削減や達成感、建物への愛着を感じることが出来るといったメリットはあります。
しかし、DIYで塗装を行い初期不良が起きてしまった場合や経年劣化で再塗装を業者へ依頼した場合には、保証がつけられない工事として塗装工事をお断りしなければいけないケースもあります。
仮に塗装の依頼を引き受けたとしても、塗装を完全に剥がしてからでなければ塗装は出来ないため、費用も高額になってしまう可能性があります。外壁・屋根塗装には、洗浄や養生はじまり様々な工程が存在し、どの工程においても適切に対応しなければ耐久性や仕上がりに大きく影響してしまいます。
業者へ塗装を依頼することで、安全に性能の高い塗料で外壁・屋根塗装を行うことができます。費用対効果を考えると、外壁・屋根塗装は業者へ依頼することをお勧めします。