屋根材の種類と特徴

屋根材は、建物を守る重要な建材で選ぶ素材によっては景観も大きく左右します。

現在新築の戸建てには、特に指定がなければスレート系の屋根材が採用されることがほとんどですが、その他の屋根材にも、スレート系の屋根材には無い特徴や魅力があります。

このページでは、屋根材の種類とそれぞれの特徴について紹介します。

屋根の種類


屋根材は主に、金属系、スレート系、セメント系、粘土系、アスファルトシングルの5種類です。それぞれの屋根材の特徴や価格帯、メンテナンス方法について説明していきます。


金属系

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板とは、亜鉛43.4%、アルミニウム55%、シリコン1.6%の比率で組み合わせた合金で鉄(鋼板)をメッキ加工した鋼板です。

同じ成分でできた「ジンカリウム鋼板」というものもありますが、現在は「ガルバリウム鋼板」主流となっています。

ガルバリウム鋼板は、金属名と思われている方も多いですが、実は日鉄住金鋼板株式会社の商品名です。ガルバリウム鋼板は、塗装の必要がないという業者もいますが、劣化が進行している場合は塗装が必要です。

【耐用年数】
約25年~40年

【価格】
5,000円~10,000円/㎡

【メリット】
・素材が金属のため、耐火性に優れている
・トタンやスレート系などの屋根材に比べ、耐久性に優れている
・カラーバリエーションやデザインが豊富
・軽量なため建物への負担か少なく、耐震性に優れている

【デメリット】
・他の屋根材に比べ厚さが薄いため、衝撃に弱くへこみやすい。
・薄いため断熱性や防音性は低い
・断熱性や防音性の対策に費用がかかる

【メンテナンス方法】
・15~20年で塗装のメンテナンスが必要
・塗装をしない場合は、30年で葺き替えを検討する必要がある
・雨漏りや屋根の下地に劣化がみられない場合には、カバー工法(重ね葺き)が可能

銅板

銅板とは、耐久性の高い金属として古くから使用されてきた屋根材です。

銅が雨水などにより酸化することで緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビが表面を覆い、表面を覆ったサビが銅の腐食を抑える保護膜としての効果があります。

近年では、洋風の建物が増えたことにより、目にすることは少なくなりましたが、重厚感があり経年によって色の変化を楽しむことができる銅板は、現在でも神社仏閣など多くの建造物などに使用されています。

【耐用年数】
50~60年

【価格】
18,000~20,000円/㎡

【メリット】
・非常に軽量なため、建物への負担が少なく耐震性に優れている
・基本的にはメンテナンスが不要
・素材が金属のため、耐火性に優れている
・非常に耐久性に優れている

【デメリット】
・施工できる業者が少ない
・断熱性や防音性は低い
・断熱性や防音性の対策に費用がかかる
・酸性雨や異なる金属と接触することにより電解腐食が起きる影響で穴が空きやすい

【メンテナンス方法】
・防サビや対候性の対策として塗装をする必要はない
・屋根材のメンテナンスは必要ないが、屋根の下地材や浮き釘の点検が必要
・屋根材に穴が開いていた場合には、葺き替えやカバー工法でのリフォームが必要

トタン

トタンとは、亜鉛で鉄(鋼板)をメッキ加工した鋼板です。日本では大正時代から普及しはじめ、それまで主流だった日本瓦に比べ価格が安く、施工期間も短いため戦後から全国へ普及しました。

その当時現在主流のスレート屋根などもなかったため、1950年代の高度成長期には多くの住宅に使用されていました。

現在では、見かけることが少なくなりましたが、東北や北海道など雪が積もる地方の住宅では、現在でも多く使用されています。

【耐用年数】
10~20年

【価格】
5,000~6,000円/㎡

【メリット】
・カラーの種類が豊富
・継ぎ目がないため雨漏りしずらい
・施工が簡単なため、工期が短く済む
・スレートの次に価格が安い

【デメリット】
・サビやすく経年劣化で穴が空くこともある
・定期的なメンテナンスが必要
・防音性や断熱性が低い
・建物が安っぽく見える

【メンテナンス方法】
・約7~10年で塗装のメンテナンスが必要
・雨漏りや屋根の下地に劣化がみられる場合には葺き替えが必要
・雨漏りや屋根の下地に劣化がみられない場合には、カバー工法(重ね葺き)が可能

スレート系

化粧スレート(カラーベスト・コロニアル)

化粧スレートとは、セメントに繊維を混ぜて固めて板状に成形したもので、現在最も使用されている屋根材です。

日本瓦に比べ軽量なため耐震性が高く、価格が安く施工がしやすいといった特徴があります。化粧スレート以外にも、カラーベストやコロニアルなどの商品名で呼ばれることも多い屋根材です。

雪に弱いという特徴があるため、雪の多い地域で施工することはできませんが、それ以外の地域では全国的に屋根材の定番として普及しています。

【耐用年数】
20~25年

【価格】
4,500円~8,000円/㎡

【メリット】
・カラーの種類が豊富
・断熱性や耐火性、耐震性に優れている
・一部の商品を除き、瓦などに比べ価格が安い
・普及率が最も高い屋根材のため施工できる業者が多い

【デメリット】
・表面が塗装されているため紫外線に弱く、定期的に再塗装が必要
・衝撃に弱く、割れやすい
・経年劣化が進行すると雨漏りが起きやすい
・2004年以前に施工されたスレートにはアスベストが含まれている可能性がある

【メンテナンス方法】
・約10年ごとに塗装のメンテナンスが必要
・塗装をしない場合は、20~30年で葺き替えを検討する必要がある
・雨漏りや屋根の下地に劣化がみられない場合には、カバー工法(重ね葺き)が可能

天然スレート

天然スレートとは、化粧スレートのように人工的に生成されたものとは違い、粘板岩(ねんばんがん)や頁岩(けつがん)と呼ばれる天然石を切り出し、加工した屋根材です。

価格が高価なため日本ではあまり普及していませんが、日本では、宮城県石巻市雄勝町が産地として有名でした。

しかし、東日本大震災により壊滅的なダメージを受けてしまい、現在ではほとんどが海外からの輸入品になります。東京駅の屋根には雄勝町の天然スレートが使用されています。

【耐用年数】
半永久的

【価格】
8,000~30,000円/㎡

【メリット】
・対候性や断熱性が非常に高い
・屋根材自体は割れなどがない限り、基本的にメンテナンスフリー
・他の屋根材にはない石そのものの風合いを楽しむことができる
・屋根材を再利用することができる

【デメリット】
・天然石のため重さがあり、耐震性は化粧スレートなどに比べ低い
・割れやすく、加工しにくい
・施工には技術が必要なため、施工費が高額になる可能性が高い。
・屋根材自体も、他と比べ高額

【メンテナンス方法】
・雨漏りや屋根の下地に劣化がみられ、屋根材に割れなどがみられる場合には補修や葺き替えが必要
・屋根の下地材の耐久年数である20~30年に一度、葺き直しや葺き替えを検討する必要がある

セメント系

厚形スレート瓦(プレスセメント瓦)

厚形スレート瓦とは、セメント34%、硬質細骨材(砂利や砂)66%と水を練り混ぜたモルタルの瓦です。

ほとんどの厚形スレート瓦は表面を塗料で着色するため、カラーの種類が豊富で、形状により洋瓦形や和形瓦、平形瓦などの種類があります。

また、塗料ではなく釉薬(ゆうやく)を使用したものもあります。

厚形スレート瓦は、主材が同じセメントのスレート(カラーベスト・コロニアル)に比べ、厚みがあるのが特徴です。また、プレスして形を成形するためプレスセメント瓦と呼ばれることもある屋根材です。

【耐用年数】
30~40年

【価格】
6,000~10,000円/㎡

【メリット】
・カラーや形状の種類が豊富
・プレス加工のため、品質も均一で耐火性に優れ、膨張縮小の影響が少ないため、施工がしやすい
・スレート(カラーベスト・コロニアル)に比べ厚みがあるため、断熱性や遮音性に優れている
・破損してしまった場合でも、1枚単位で交換が可能

【デメリット】
・定期的に塗装のメンテナンスが必要
・定期的なメンテナンスを怠ると、チョーキングや色あせ、コケやカビが生えやすい
・塗膜が剥がれ表面が露出した場合、割れやすくなる
・重さがあるため、金属系やスレート系の屋根材に比べ耐震性は低い

【メンテナンス方法】
・約7~10年で塗装のメンテナンスが必要(塗装の時期は塗料の時期によって変わる)
・屋根の下地材や棟部の漆喰の定期点検が必要
・屋根に重さがあるためカバー工法はおこなえない
・屋根の下地材の耐久年数である20~30年に一度、葺き替えを検討する必要がある

コンクリート瓦(モニエル瓦)

コンクリート瓦とは、原材料は厚形スレート瓦と同じですが、厚形スレート瓦と比べ硬質細骨材(砂利や砂)に対してのセメントの量が少なく、押し出し成型後に着色スラリーという着色材を厚めに塗ることで防水層を生成します。

出来上がった防水層の上に塗装をおこなうという特徴があります。

正式名称は「乾式コンクリート瓦」といい、どちらも見た目が酷似していますが、厚形スレート瓦とコンクリート瓦では使用する材料が違うため、誤った材料や施工をおこなうと塗装がすぐに剥げてきてしまうので注意が必要です。

厚形スレート瓦と見分けるには、切り口の形状が見分けるポイントとなります。厚形スレート瓦がツルツルと滑らかな切り口をしているのに対し、コンクリート瓦の切り口はギザギザと凹凸があります。

【耐用年数】
30~40年

【価格】
6,000~8,000円/㎡

【メリット】
・金属系の屋根材に比べ、防音性や耐火性が高い
・通常のセメント瓦に比べ寸法の精度が高く、施工しやすい
・日本瓦に比べ価格が安い
・破損してしまった場合でも、1枚単位で交換が可能

【デメリット】
・重さがあるため、金属系やスレート系の屋根材に比べ耐震性は低い
・再塗装をおこなうには高度な技術が必要なためメンテナンスには注意が必要
・定期的なメンテナンスを怠ると、チョーキングや色あせ、コケやカビが生えやすい
・塗膜が剥がれ表面が露出した場合、割れやすくなる

【メンテナンス方法】
・約7~10年で塗装のメンテナンスが必要(塗装の時期は塗料の時期によって変わる)
・屋根の下地材や棟部の漆喰の定期点検が必要
・屋根に重さがあるためカバー工法はおこなえない
・屋根の下地材の耐久年数である20~30年に一度、葺き替えを検討する必要がある

日本瓦

日本瓦とは、日本国内の粘土を瓦のの形に成形し乾燥させた後、1,000~1,250℃もの高温の窯で焼き上げて作る屋根材です。「粘土瓦」や「和瓦」とも呼ばれています。

焼き上げる際には、そのまま素焼きで焼いた「いぶし瓦」、表面に釉薬(ゆうやく)を塗り焼いた「釉薬瓦」の2種類に分かれます。

形状も様々ありJ型(和形)、F形(平形)、S形(スパニッシュ瓦)などがあります。日本瓦は、屋根材の中で最も耐久性があり、雪や風の影響がなければ耐久年数は100年以上もあると言われています。

【耐用年数】
50~100年

【価格】
8,000~12,000円/㎡

【メリット】
・表面に塗料を塗らないので、再塗装などのメンテナンスが不要
・高温で焼き上げるため、セメント瓦やコンクリート瓦に比べ固く割れにい
・厚みがあるため、断熱性や遮音性、耐久性に非常に優れている
・破損してしまった場合でも、1枚単位で交換が可能

【デメリット】
・重さがあるため、金属系やスレート系の屋根材に比べ耐震性は低い
・暴風で瓦がずれたり、落ちて割れる可能性がある
・重量があるため、瓦を支える建物の基礎をしっかり工事しなければならない
・施工できる職人が少ないので、施工費用が高くなる。

【メンテナンス方法】
・屋根の下地材や棟部の漆喰の定期点検が必要
・屋根に重さがあるためカバー工法はおこなえない
・屋根の下地材の耐久年数である20~30年に一度、葺き替えを検討する必要がある

アスファルトシングル

アスファルトシングルとは、不燃布やガラス繊維にアスファルトを浸み込ませ、その上に砂粒で表面に着色をしたシート状の屋根材です。

他の屋根材に比べ耐久性は劣りますが、ゴムのように柔らかいシート状の屋根材のため、加工がしやすく複雑の形状の屋根でも施工しやすいという特徴があります。

日本ではあまり馴染みのない屋根材ですが、北米で100年以上前に開発をされアメリカでは80%以上のシェアを誇ってる屋根材です。

【耐用年数】
20~30年

【価格】
5,000円~8,500円/㎡

【メリット】
・素材が柔らかく加工しやすい
・軽量なため耐震性に優れている
・瓦のように落下する危険性がない
・表面に砂粒が施されているため防音性に優れ、雪止め効果がある

【デメリット】
・施工できる業者が少ない
・燃焼しやすい素材のため、耐火性が低い
・表面に水がたまりやすく、コケやカビが発生しやすい
・ほとんどのアスファルトシングルは定期的なメンテナンスが必要

【メンテナンス方法】
・約7~10年で塗装のメンテナンスが必要(塗装の時期は塗料の時期によって変わる)
・表面に施された砂粒が紫外線の影響を受けない天然石などを使用している場合には30年以上メンテナンスフリーの屋根材がある
・塗装をしない場合は、20~30年で葺き替えを検討する必要がある
・雨漏りや屋根の下地に劣化がみられない場合には、カバー工法(重ね葺き)が可能

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