ガラスパテは、亜麻仁油や魚油などの脂肪油に炭酸石灰、鉛白、亜鉛華、チタン白などを混合、撹拌して作られたガラス留め材です。
明治初期に板ガラスの輸入に併せて日本に入ってきて、1899年に国産化されたといわれております。硬化物は硬く伸びないことから、地震や風によるガラスの動き(ロッキング変形など)に追従できません。
このため地震時にガラスが割れやすく、現在では使用をされることが少なくなりました。ガラスパテが使用されてるのは、工場や団地などの窓ガラスにおおく、一昔前の建物に目立ちますが、近年では新築時などに使われることはめったにありません。ガラスパテは劣化をするとボロボロと剥がれ落ちてくるのが特徴です。
油性コーキング材は、1950年代に日本で最初に使用されたシーリング材で、1970年代までは建築用シーリング材の主流として広く使われています。しかし、その後の建築構法の進歩にともないシーリング材に対する要求性能が高度化した結果、弾性系シーリング材が主流になり現在に至っています。
油性コーキング材は表面は空気中の酸素と反応して皮膜を形成しますが、内部は硬化しない非硬化型の材料です。一方、現在主流となっている弾性系シーリング材は、全体がゴム状に硬化する硬化型の材料です。いずれの材料もコーキング材と呼ばれたことがありましたが、現在では、油性コーキング材以外についてはシーリング材に統一されています。
なお、コーキングとは「隙間を詰める、水密する」という意味で英語の「caulk」が語源です。また、シーリングとは「封印する、密封する」という意味で、同じく英語の「seal」が語源です。なお、土木用途では不定形シーリング材をコーキング材、定形ガスケットや水膨張ゴムをシール材と呼んでいます。
プライマーを塗布することにより密着がよくなると考えればわかりやすいでしょう。
建築に使用される部材(被着体)は非常に多岐に亘っており、ガラス、金属、塗装、石材、タイル、コンクリートなど多くの種類があります。
またその表面処理も一様ではなく、それを加えると膨大な数になります。その多くの被着体にシーリング材を接着させ、防水機能を保持するためにはそれそれの被着体に適したプライマーを使用することが不可欠です。
プライマーの最も重要な役割は接着の確保ですが、それ以外にもALCなどの月危弱な被着体の表面強化や、多孔質被着体内部からの水、アルカリなどの浸出防止、有機系被着体またはシーリング材からの可塑剤等の移行防止などの役割にも担っています。
2成分形は、施工前に基剤と硬化剤等を練り混ぜることによって硬化が進行する混合反応硬化タイプのシーリング材です。
化学反応であるため、硬化速度は温度により大きく影響を受けます。基剤/硬化剤の混合比を守らなかったり、練混ぜが不十分であると硬化不良を起こすので注意が必要です。一方、1成分形シーリング材は、練り混ぜる必要がないので、2成分形で起こりうる混合比の間違いや練り混ぜ不十分による効果不良を起こすことはありません。
1成分形シーリング材は効硬化の種類により、空気中の水分と反応して表面から硬化する湿気硬化形、空気中の酸素と反応して表面から硬化する酸素硬化形、含有水分や含有機溶が発散することによって硬化する乾燥硬化形、施工後に表面層は皮張りするが内部はペースト状態を保ち、粘着により、水密・気密性を確保する非硬化形に分けられます。
1成分形シーリング材を適切に使うためには、2成分形シーリング材と硬化の仕方が違う事を理解する必要があります。2成分形シーリング材は、基材と硬化剤を練り混ぜることにより、硬化が始まり、硬化途上でシーリング材表面と内部の硬化状態は同じです。
一方、1成分形シーリング材の場合は、大気中の湿気や酸素との反応、または水分や溶剤の大気中への揮散により硬化が進行するため、硬化途上ではシーリング材表面と内部の硬化状態が異なります。
つまり、表面は硬化をしていても、内部は未だ硬化していない時間があります。この時にムーブメントが発生するとシーリング材に亀裂や変形が発生するため、1成分形シーリング材の場合では、金属パネル目地のように温度によるムーブメントが大きい目地には適用できません。1成分形シーリング材の適材適所もしっておく必要があります。
プールの水には減菌するためにカルキ(次亜塩素酸カルシウム)等を添加しています。これらは酸化性が強く、特に湿潤状態ではシーリング材等を軟化・溶解させます。
プールの水回りに使用するシーリング材は耐水性はもちろんのこと、これらの酸化作用に強いシーリング材を選択する必要があります。現在のところこの用途に使用可能なシーリング材はシリコーン系のみですが、非常に厳しい環境ですのでシリコーン系を使用した場合でも定期的な点検・メンテナンスが必要になります。
ポリウレタン系、アクリルウレタン系及びポリサルファイド系で変色することがあります。この変色の原因としては、温泉地で発生する硫化水素ガスとシーリング材成分が反応するためですが、表層部分だけでの変色となりますので、シーリング材としての物性には影響はありません。
また、温泉地に限らず下水処理施設など硫化水素の出るような所では、同じような現象が生じる可能性があります。
サイディングボードのメンテナンスに不可欠なシーリングの打ち替えは適正な施工をしなければなりません。シーリング工事の不具合の原因は様々ですが、代表的な事例としてシーリングの膨れについて紹介いたします。
まず、サイディングボードのシーリングの打ち替えをする際は目的と用途に合わせたシーリング材を選択しなければなりません。不具合の発生に関しては施工後、直ぐに分かるものではありませんが、早ければ1ヵ月も経過しないうちに発生するケースがあります。
シーリングの失敗事例としては膨れや塗膜の剥がれなどが最も多く、その原因は業者の施工ミスがほとんどです。シーリングの膨れや上から塗装した塗膜の剥がれの考えられる理由としては、バックアップ材とシーリングの間に空気層ができ、その後、暖められた空気の膨張からシーリング材を押し上げた場合に膨れることがあります。
この対策方法として、施工中にシーリング材の抑えを空気を出すように2度抑えることが必要です。特に目地が深い場合は注意して押し込むようにヘラでならすことが大切です。
もう一つ考えられる理由はシーリング材の充てん後、硬化過程で目地挙動が大きいことによる変形が原因の場合、膨れの不具合が発生します。このような不具合を避けるにはなるべく硬化の早いシーリング材を使用することをお勧めいたします。また、乾燥過程における揮発物質による塗膜の膨れも不具合の大きな要因となりますので、シーリングの充後の乾燥時間は十分な工期をとる必要があります。特に冬場は気温が低く、湿度も高いので、乾燥時間は通常よりも多くとる必要があります。
シーリングに関わらず、塗材には表面乾燥と内部乾燥も含めて覚えておくとよいでしょう。シーリングの工事において、「乾燥時間の確保と打設時の空気混入」は最も注意すべきところです。
工期短縮や作業スピードばかり優先すせず、材料の特性を把握して施工上の注意事項をよく理解し、不要な不具合の発生を未然に防ぐことが大切です。このような点を注意することでシーリング材の先打ち施工の場合でもシーリングの膨れや塗膜の剥がれなどを防ぎ、品質を保つことが出来るのです。
意匠面の課題は残るものの、被着体の異常や目地幅の不足を補うことができるなど目地幅を拡大する拡幅再充填工法と同様の効果が得られ性能面で優れることに加え、既存のシーリング材を除去する必要がないので作業環境への影響が少ないことが特徴です。また、既存の目地幅が不足している場合、
所定の目地幅に拡大するには多額の費用を要しますが、それに比較すれば費用が安く工期が短いなどの長所もあります。
補足ですが、ブリッジ工法によりシーリング目地の耐久性が向上する要因として様々な優位性があります。まず、シーリング材の動きが引張・圧縮からせん断方向に動くようになるため、設計伸縮率・せん断変形率が大きくなります。次に、ボンドブレーカーを張ることにより目地幅が拡大します。
また、シーリング材の両端が拘束されないめ動きやすい。この3点があげられます。
三角シールとは、部材の突き合わせ部、シート部材の端末等の目地が形成されていない部位で、シーリング材や接着剤等を使って部材を固定し隙間を覆うために用いられる方法のことです。
打設した材料の断面が三角形になるため三角シールと呼ばれています。通常の目地に充填されたシーリング材と違い隙間を覆うだけのため、軽微な防水効果しか期待できません。このため、ほとんど動きがない部位以外での三角シールは避けるべきです。
製品安全データシートのことで「Mat℮rial Saf℮ty Data Sheet」の頭文字をとってMSDSと呼ばれています。化学物質管理推進法(PRTR法)に基づいて指定化学物質や特定化学物質を含む製品を譲渡または提供する際に添付しなければいけない資料です。
化学物質の安全な取扱いと環境を守る目的で、化学物質名や成分情報が記載されています。シーリング材やプライマーも化学製品であり、正しく管理し取り合うためには必ずMSMSを活用し、その指示に従う必要があります。なお、国際的にはSDS(Saf℮tyData Sheet:安全データシート)の名称が一般的であり、日本でも「MSDS]から「SDS]に移行しています。
平成15年に改正施工された建築基準法によりシックハウス対策として、内装に使用される接着剤や塗料など17品目がホルムアルデヒド放散建材と規定され、F☆☆☆☆などのFマークでホルムアルデヒド放散等級を表示することが義務づけられました。
シーリング材は告示対象建材ではなく、放散速度が規制される「居室の内装仕上げにおいて面で使用されるもので見付け面積が1/10以上の建材」にも該当しない為、これらの表示を行う義務がなく、また、規制対象建材でないことからFマークを表示することはできませんでした。
しかし、「告示対象建材」に対してもゼネコン等からF☆☆☆☆商品を求められるなど混乱を招いたことから、日本シーリング材工業会では平成17年に制定された「告示対象外建材表示ガイドライン」に則って平成18年にホルムアルデヒドの放散に関する実態検査結果では、14種類のシーリング材についてすべて定量下限値以下となったため、当工業会の自主基準による表示は、F☆☆☆☆のみとなっています。
シーリング材の寿命と保証期間は同じではありません。シーリング材の寿命については、建設省が実施した総合技術開発プロジェクト「建築物の耐久性向上技術の開発」で、信頼性工学に基づくバスタブ曲線によりおおよその傾向が把握されています。
このときの調査研究ではビルのメタルカーテンウォールなどの各種の工法があり、機成部もコンクリートやALC、金属など種々のものがあります。
従って、シーリング座の耐用年数に影響を与える温度変化や地震動などによる目地の動きも、ほとんど動きがない小さなものから大きいものまで、また、その動き方も様々です。
日本建築学会の「外壁接合部の水密設計および施工に関する技術指針・同解説」では外壁の工法や部材とシーリング材との組み合わせにより推定耐用年数を設定し、適材適所で10年以上の組み合わせにすることを推進しています。シーリング材の保証期間としてはバスタブ曲線の初期故障に相当する3年~5年が標準と思われます。尚、シーリング材の保証範囲は一般的に防水機能の維持であり、シーリング目地の変色や汚れなどは対象外です。
また、保証期間の設定については業界によって様々で、例えば、電化製品では課金による延長サービスなどはありますが多くは一年です。その寿命というと、当たり外れはありますが10年以上もつことも珍しくありません。
防水業界では寿命の1/5~1/3程度、バスタブ曲線の初期故障期間とするのが一般的です。
シーリング工事の際に、3面接着を防ぐ為にボンドブレーカーを使用します。ボンドブレーカーには、テフロンテープ・シリコンテープ・ポリエチレンテープ・ビニールテープなど沢山の種類があり、シーリング材の種類によって適・不適があります。
テフロンテープは各シーリング材に共通して最も良好ですが、販売価格が非常に高価なため、他の適切なテープを使用することが一般的です。尚、ボンドブレーカーはシーリング材ばかりでなく使用するプライマーにも接着しないことを予め確認する必要があります。
シーリング目地の打ち替えなどに使用するバックアップ材の役割については適切な目地形状を確保するためにシーリング材の充填の深さを調整し、また、3面接着を防止するために装填するプラスチックの成形材料です。
断面形状は各形、丸型、中空丸型などがあり、独立気泡のポリエチレン制で発砲率は7~30倍程度のものが多く用いられます。また、ガラス回りにはガラス
固定用としてEPDMなど材質の異なる硬質タイプのものも用いられます。
なお、丸型の場合、目地幅に対し20~30%大きめのものを、角形の「のりなし」の場合は2~3㎜程度大きめ、「のり付」の場合は2~3㎜程度の小さめのものを使用します。
油性塗料の中には皮膜形成促進剤が入っていますが、この促進剤は変性シリコーン系、ポリウレタン系と反応する為、両者が接触すると油性塗料の乾燥が悪くなります。
この現象は、ポリイソブチン系とポリサルファイド系の場合でも同様に発生します。尚、油性系及びフタル酸系の酸化重合形の塗料はシーリング材の上に塗装しないのが原則ですが、塗装をする場合では事前に確認が必要です。
シーリング材の上に塗装を行う場合は、シーリング材の表面が硬化していることが必要です。
養生期間は、2日以上、10日以内が一般的です。注意点としては夏季と冬季では乾燥時間が全く異なるので、冬季の場合では気温が低く湿度が高いことから、特に乾燥時間が必要なので予め、養生期間を長く設ける工程を組むことが大切です。逆に、養生期間が長すぎても塗料との密着性が低下をすることがありますので注意してください。
シーリングの発泡とは、硬化後のシーリング材内部に気泡がとどまり、表面が膨れたり、場合によっては表面に亀裂が生じたりする現象で、ポリウレタン系シーリング材やアクリルウレタン系シーリング材で発生することがあります。
この気泡は、ウレタンポリマーが大気中の湿気や部材の水分と反応して発生する炭酸ガスによるもので、施工時の湿気と温度が高い場合に発生しやすくなるので注意が必要です。また、2成分形シーリング材で、目地充填時の気泡の巻き込みは、発泡を誘発する原因となりますので注意してください。
一般的にコンクリート躯体目地(2次シール)はポリウレタン系、タイル目地(1次シール)にはポリファルサイド系、変性シリコン系が使用されています。但し、変性シリコン系の場合は薄層未硬化現象に留意する必要があります。
なお、タイル目地の位置は躯体目地に合わせて、ボンドブレーカーやバックアップ材で縁を切る必要があります。
建築用シーリング材は主成分によって区分されており、変性シリコーンとシリコーンはその主成分の名称です。
変性シリコーンは「シリル基未端ポリエテール」という樹脂を主成分としたシーリング材であり、シリコーンは「オルガノポリシロキサン」という樹脂を主成分としたシーリング材です。
名称が似ていて紛らわしいのですが、化学的には全く異なる樹脂が主成分であり、変性シリコーンは、シリコンを配合したシーリング材という訳ではありません。