トタン屋根は、1950年代に主流であった屋根材で、積雪や地震に強い特徴がありますが、耐久性が低いなどのデメリットがあるため、現在は、一部の地域以外では用いられません。
このページでは、トタン屋根のメリットとデメリット、劣化症状、塗装工程と料金、カバー工法と葺き替えの費用について紹介しています。
トタン屋根は、金属屋根の一種で鉄板を亜鉛メッキで覆っている屋根材です。
1950年代の高度経済成長期に多く施工されましたが、現在は、東北や北海道などの積雪地域以外では、ほとんど採用されていません。
建材が安く、施工が簡単で工期が短いため、施工料金が安い特徴があります。
トタンは非常に軽い建材です。そのため、地震で揺れても影響を受けづらい特徴があります。
トタンは軽いので、屋根に雪が積もって重量が増えても、建物へかかる負荷が少ない特徴があります。
継ぎ目が少ないので、雨漏りが起こりづらいです。
トタンは熱を通しやすい素材なので、夏は表面が高温になり、室内が熱くなります。
雨が打ち付ける音が大きく響き、室内にも音が聞こえる場合があります。
経年劣化や傷によって錆びが発生します。特に傷があると、一気に錆びが進行して広がっていくので注意が必要です。
昔ながらの屋根のイメージが強く、スレートや瓦に比べると、高級感や重厚感は劣ります。
トタン、ガルバリウム、ブリキは、すべて金属の建材ですが、表面に施されているめっきの種類が異なるため、耐久性に違いが生まれています。
どの建材も傷が付くと、そこから錆びが発生する特徴があります。
トタンのめっきは、亜鉛が主成分で、耐久年数は、8年~10年程度です。
ガルバリウムは、アルミニウムと亜鉛で構成されており、20年以上も耐久性があります。
ブリキのめっきは、スズから出来ており、耐久性が非常に低いため、屋根材で使用されることはありません。
変色や艶の低下は、塗装の樹脂が劣化しているサインで、塗装を検討する目安になります。
チョーキングは、塗料に含まれる顔料が粉状になる現象で、塗料の樹脂が劣化しているサインです。塗装を検討する目安になります。
カビやコケが発生すると、塗膜の劣化が早くなるので、注意が必要です。
塗膜の膨れと剥がれは、防水が機能していない状態なので、早急な修繕が必要です。
錆びを放置すると、一気に広がって穴が空くので、早急な修繕が必要です。
トタン屋根は、高圧洗浄、ケレン、錆止め、上塗りの順番で施工を行います。一般的な屋根塗装と比べた場合、ケレンと錆止めが違う部分です。
ケレンは、主に金属などを塗装する場合に用いられる工程です。
高圧洗浄で落としきれなかった汚れや錆びを除去します、また、表面に傷を作ることで、塗料の密着を良くする効果もあります。
トタンは錆びやすいので、下塗りとして錆止めを施します。
錆び止めは、浸透性があるものがオススメです。塗装面の凹凸に隙間を作らずに覆うことが出来るので、空気や水が触れるのを防ぐことができ、錆を抑制します。
上塗りは、油性の2液がオススメです。水性は積雪に弱い特徴があるので、油性の方が望ましいです。また、1液よりも2液の方が耐久性が高く、シリコン以上のグレードがオススメです。
室内が熱くなる場合は、遮熱塗料もオススメです。
ケレンの費用が加算される以外は、一般的な屋根塗装と費用は同じです。一般的な30坪の戸建ての場合、250,000円~400,000円程度が相場になります。
ケレンは、状態によって施工方法と料金が変わり、トタン屋根の場合は、3種ケレンと2種ケレンが主に行われます。
3種ケレンは、手作業と電動工具の両方を使って行われ、状態の悪い塗膜だけを除去します。施工単価は、単価は700~1,000円前後です
2種ケレンは、電動工具を使ってすべての塗膜を除去します。単価は1,400~2,000円前後です。
塗料の種類によって変わりますが、錆止めの単価は、500~800円前後です。
上塗りは、シリコン塗料の単価は、1,800円~3,000円前後、フッ素塗料の単価は、3,500~4,800円前後、遮熱塗料の場合は、3,000円~4,800円前後が相場になります。
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根を乗せる工法で、葺き替えは、既存の屋根を撤去して、新しい屋根と取り換える工法です。
どちらも劣化が激しく塗装が出来ない場合や、トタンのデメリットを解消するために行います。
既存の屋根材の撤去費用がかからないので、葺き替えと比べて費用を抑えることができます、そのため、カバー工法が主流となっています。
ガルバリウム鋼板を採用することが多く、一般的な30坪の戸建ての場合、700,000円~1,200,000円程度が相場になります。
葺き替えは、屋根の下地まで劣化していて、カバー工法で対応できない場合に有効です。
一般的な30坪の住宅の場合、900,000円~1,600,000円程度が相場で、既存の屋根材を撤去する費用が掛かるため、カバー工法よりも高額です。
トタン屋根は、1950年代までは主流の屋根材でしたが、現在は、積雪地域以外で採用されることは、ほとんどありません。費用が安いですが、耐久性が悪く、特に錆びが進行しやすい特徴があるので、定期的な塗装が必要です。
カバー工法や葺き替えによって、より耐久性の高いガルバリウム鋼板に変更することが可能です。トタンのデメリットを解消したい場合にオススメです。