ケレンは、外壁塗装で作業内容がわかりづらい工程ですが、塗装の仕上がりを左右する重要な役割があり、不十分な場合は、どんなに良い塗料を使っても、剥がれなどの施工不良が発生する可能性があります。
このページでは、ケレンの種類、目的、費用相場、注意点を紹介しています。
ケレン作業とは、ヤスリや電動工具を使って、塗装面の塗膜や錆びなどの付着物を除去する作業で、下地調整や素地調整とも呼ばれています。
ケレンは、塗装面に塗料を密着させる目的で行われます。汚れが付着したまま塗装を行うと、塗装面と塗膜の間に異物が入るため、密着が悪くなり塗膜が剥離する危険性があります。
また、錆びがある場合は、塗装直後は塗膜が密着していても、塗膜の下で錆びが成長して2~3年で塗膜が剥がれる可能性があります。下塗りで錆び止めを塗装しても、ケレンで錆びを根本から除去しなければ、剥がれの原因を除去することはできません。
ケレンは、高圧洗浄を行った後に行われ、高圧洗浄の水圧でも落としきれなった汚れや錆び、旧塗膜をキレイに除去します。
ケレンは、塗装面の劣化の程度によって、作業内容が変わり、1種~4種までに分かれています。少ない数字ほど、塗装面の劣化が大きい際に行われる作業になります。
塗装面の劣化が最も大きい場合に行うケレンで、塗膜を除去して完全に下地を露出した状態にします。主に公共道路や橋の腐食や劣化が激しい場合に採用され、一般住宅で1種ケレンが必要なほど劣化が激しい場合は、建材の張替えを行うため、1種ケレンが採用されることはありません。
施工は、強力な機械で研掃材を噴射して、塗装面の錆びや汚れを除去します。これを「ブラスト工法」と呼びます。吸引機も併用するので、作業音が大きい特徴があり、薬剤を併用する場合もあります。
施工単価は、1平方メートルあたり約4,500~6,000円程度が相場です。
一般住宅では、最も錆びが激しい場合に採用されるケレンで、ワイヤブラシやワイヤカップなどの電動工具を用いて、錆びを塗膜ごと完全に除去します。
施工単価は、1平方メートルあたり約1,500~2,000円程度が相場です。
一般住宅では、最も採用されることが多いケレンで、錆びが比較的少ない場合に採用されます。
ワイヤーブラシやスクレーパーを使って、手作業で錆びや浮いた塗膜を完全に除去しますが、錆びていない既存塗膜は残ります。
施工単価は、1平方メートルあたり約500~1,000円程度が相場です。
塗装面にほとんど錆びがなく、状態が良い場合に採用されるケレンです。紙ヤスリやブラシを使い手作業で汚れを落とします。
施工単価は、1平方メートルあたり約200~400円程度が相場です。
ケレンは、施工不良を防ぐ重要な工程ですが、省かれやすい工程の1つです。そのため、見積もり書にケレンの工程が含まれているかを確認する必要があります。
ケレンと同意語に、下地調整や素地調整、表面処理、下地処理といった表現で記載されている場合があります。
ケレンは、施工不良を防ぐ重要な工程で、劣化状態によって施工内容が異なります。一般住宅では、2種~4種ケレンまでを行います。
塗料の性質や塗装技術が高くても、ケレンをしっかりと行われていなければ、塗膜の性能は発揮されません。
手抜き工事で省かれやすい工程なので、お見積もりの段階で、しっかりと施工が行われるかをチェックする必要があります。