建物は日々、紫外線や雨風などによって少しずつ劣化していくため、定期的にメンテナンスする必要があります。特に屋根は日光や雨などが直接当たるため、外壁に比べて劣化しやすくなります。
そのまま放っておくと、屋根材の破損や雨漏りに繋がる可能性もあるので、適正なタイミングでメンテナンスすることが重要です。
このページでは、モニエル瓦の特徴や劣化症状、メンテナンス方法について紹介します。
モニエル瓦はヨーロッパ発祥のセメント瓦の一種で、正式名称は乾式コンクリートセメントと言います。セメントと砂を混ぜ合わせて作られており、機能性に優れているのが特徴です。
ただ、現在は生産中止となっているため、新築で用いられることはありません。
モニエル瓦は断熱性、防音性が高く、さらに強い雨風に耐える防水性も兼ね備えています。施工性にも優れているため、通常のセメント瓦よりも制度が高く、様々な形状や色彩のものが存在します。
瓦屋根の中で比べると比較的軽量ですが、金属屋根と比べると約6倍重く、耐震性も低いデメリットがあります。また、現在は生産されていないため、交換が必要な場合でも入手することが難しいです。
モニエル瓦の耐用年数は約30年ほどで、10年~15年を目安に塗装によるメンテナンスが必要になります。
セメントは水を数と膨張し、乾燥すると収縮するため、その動きが繰り返されるとひび割れが発生します。
軽度のひび割れであれば、防水テープや接着パテで補修をします。瓦自体が割れてしまっている場合は補修が難しいため、一部を新しい瓦に交換する方法か葺き替えになります。
地震や台風などによって、瓦がズレや漆喰が割れが発生してしまいます。放置していると屋根が傷みやすくなり、雨漏りの原因にもなります。
また、瓦が滑落する危険性もあるので、瓦をはめ直したり、葺き替えを行う必要があります。
コケやカビは表面の防水性が失われている証拠で、経年劣化によって発生します。放置していると塗膜だけではなく、モニエル瓦自体も劣化してしまいます。
状態が悪化すると、ひび割れの発生や耐久性の低下などにも繋がるので、早めの塗装が必要です。
チョーキングとは、塗膜が劣化して粉状になり、手で触ると白い粉がつく現象です。塗膜の保護機能が低下しているサインになります。
放置すると瓦が雨を吸い込みやすくなり、ひび割れや雨漏りなどに繋がります。早急に対処する必要はありませんが、チョーキングが発生したら塗装を検討し始める時期と考えてきましょう。
モニエル瓦は、セメントの上にスラリー層とトップコートを重ねて作られており、通常はトップコートによってスラリー層が保護されています。
ただ劣化するとトップコートの保護機能が失われ、スラリー層がむき出しになるため、塗装する際は高圧洗浄やケレンでスラリー層を取り除く必要があります。
この作業が不十分でスラリー層の上にそのまま塗装してしまうと、塗膜が密着せずに剥がれやすくなってしまいます。
また、使用する塗料はモニエル瓦専用塗料が用いられます。モニエル瓦には使用できな塗料で塗装すると、施工不良や早期劣化に繋がる可能性があります。
塗装の費用は使用する塗料によって異なりますが、一般住宅の場合、40万円~70万円が相場です。
葺き替えとは既存の屋根を撤去して、新しい屋根を取り付ける方法で、モニエル瓦の劣化が激しく塗装では対応できない場合行います。
葺き替えに使用する屋根は、ガルバリウム鋼板やスレート屋根が一般的で、費用は80万円~120万円が相場です。
モニエル瓦は、劣化するとチョーキングやコケなどが発生するため、約10年で塗装をして保護機能や防水機能を維持することが大切です。
メンテナンスを行わず放置し続けると、瓦自体のひび割れや雨漏りなどが発生し、塗装ではなく葺き替えが必要になり、さらに費用もかかってしまいます。
最悪の場合、建物にも影響を及ぼしたり、瓦が滑落して事故に繋がる危険性もあるので、定期的に専門の業者に点検をしてもらい、適正な方法でメンテナンスするようにしましょう。