スレート瓦を塗装する際は、縁切りという工程が必要になります。塗装に直接関わる工程ではありませんが、屋根の劣化や雨漏りに関係する重要な工程です。
このページでは、縁切りの種類、雨漏りの原因になる仕組み、費用についてを紹介しています。
スレート瓦は、塗装をすると瓦の重なった部分に塗料が入り込んで、瓦同士の隙間が塞がります。縁切りは、この隙間を埋めないための工程です。
瓦の重なった部分の隙間は、瓦の内側に入り込んだ雨水を排水する役割があります。
塗装によって、瓦の隙間が塞がると雨水が排水されずに、瓦の内側に溜まっていきます。瓦の内側に溜まった水は、瓦の外の水を吸い上げる「毛細管現象」を発生させるので、瓦の内側に大量の雨水が入り込みます。
隙間に入り込んだ雨水は、瓦の下にある防水シートや野地板に達して劣化させます。劣化が進行すると穴が空いて雨漏りが発生します。
新築の際は、屋根が完成した後にスレート瓦へ塗装を行わないので、縁切りは必要ありません。縁切りは、新築から次の屋根塗装の際に行います。
縁切りは、従来の縁切り工法とタスペーサー工法の2種類があります。現在は、作業性や美観に優れているタスペーサー工法が主流となっています。
従来の縁切り工法は、塗装を行って塗料が乾いた後に、カッターナイフや皮スキなどを使って、手作業で隙間を空けていきます。
乾いた塗料は固いため、非常に手間がかかり、一般的な30坪程度の住宅の場合、2人で作業を行っても丸1日程度の時間が必要です。
また、塗膜を切るように作業を行うため、塗膜の切れ目がギザギザになって美観がよくありません。
タスペーサーは、瓦の隙間に入れる縁切り部材の名称です。
下塗りが終わった際に、瓦の隙間に挿入することで、中塗りと上塗りの塗料で瓦の隙間が埋るのを防ぐ効果があります。
隙間を確保するので、従来の縁切り工法が不要になり、塗膜を傷付ける必要がありません。また、従来の縁切り工法よりも作業時間が短縮されるので、人件費を抑えることができます。
そのため、現在はタスペーサー工法が主流となっています。
但し、瓦の隙間が4ミリ以上空いている場合は、タスペーサーで縁切りを行うことができません。隙間が大きすぎるため、タスペーサーを安定して設置することができないので、従来の縁切りが必要になります。
従来の縁切り工法の施工単価は、1平方メートルあたり約500~800円程度が相場です。一般的な30坪程度の戸建ての場合、30,000円~60,000円程度の費用がかかります。
タスペーサー工法の施工単価は、1平方メートルあたり約200~400円程度が相場です。一般的な30坪程度の戸建ての場合、15,000円~25,000円程度の費用がかかります。
屋根の排水を適切に行われなければ、雨漏りが発生する危険性があるので、縁切りは非常に重要な工程です。従来の縁切り工法とタスペーサー工法の2種類があり、現在の主流はタスペーサー工法です。
お見積もりの際は、縁切りが適切に行われるかを確認することオススメします。