下地処理は、一見すると地味な作業ですが、塗装の品質を決める重要な工程です。この工程を疎かにすると、いくら丁寧に塗装を行っても、品質の良い施工になりません。
下地処理がなぜ重要なのか、どのような作業があるのか、また、下地処理が不十分な場合に起こる施工不良について紹介します。
下地処理とは、塗装を行う前に塗装面をキレイに整える作業です。具体的には、汚れやカビ、浮いた旧塗膜などを落とす作業やクラックを修復する作業などがあります。
下地処理は、塗料を塗装面に密着させるために行います。
万が一、下地処理がしっかりできていない場合は、塗料の剥がれやヒビ割れが発生します。また、塗料の性能が十分に発揮されないため、高級な塗料を塗っても早期に劣化が起こる可能性があります。
そのため、下地処理は、仕上がりの品質に大きく影響するため、非常に重要な工程です。
高圧洗浄は、高圧洗浄機から水を噴射して塗装面の汚れを洗い流す作業です。噴射する水圧が非常に強力なので、洗うというよりは、汚れを削ぎ落といった表現の方が近いです。
高圧洗浄後は、よく乾かしてから次の施工を行うことが重要です。水分が残ったまま塗装を行うと、施工不良の原因になります。
クラック補修は、塗装を行う前にヒビ割れを埋める作業です。
ヒビ割れの幅に応じて作業内容が異なり、幅が0.3ミリ未満のヘアークラックは、ヒビ割れの上からシーリング材を埋めて補修を行います。
幅が0.3ミリ以上の構造クラックは、深部までシーリング材が届くように、電動工具で溝を掘ってからシーリング材で埋めていきます。
コーキング補修は、サイディングの間にある目地を修繕する作業です。
施工方法は、「増し打ち」と「打ち替え」の2種類があり、増し打ちは、既存のコーキングの上から、新しいコーキングを充填する工法です。
打ち替えは、既存のコーキングを全て撤去して、新たにコーキングを充填する工法です。増し打ちより耐久性が高いため、現在の主流となっています。
ケレンは、電動工具や手作業で塗装面の錆びや汚れ、既存の塗膜を除去する作業です。主に、金属の錆びを落とす際に用いられる作業で、内容によって1種~4種まで分かれています。
一般住宅では、最も強力な1種は行われず、2種~4種の作業が行われます。
目止めは、目止め剤を塗る作業で、下塗り前に行います。
塗料の吸い込みが激しい塗装面は、下塗りでだけでは塗料の吸い込みが止められない場合があります。その場合に、目止め剤を塗ることで、塗料が過剰に下地に吸い込まれるのを防ぎます。
塗料の吸い込みがある状態で下塗りを行った場合は、下塗りの効果が十分に発揮されないので、塗料が密着せずに施工不良がおこる可能性があります。
クラック補修が不十分だった場合に塗装をすると、塗膜がビビ割れに追随できなくなって、同じ箇所でビビ割れが発生します。
高圧洗浄やケレンが不十分で、塗装面に汚れなどが残った状態で塗装行った場合、下地が密着しないため、剥離が発生する可能性があります。
高圧洗浄後の乾燥が不十分だった場合は、塗膜の内部に残った水分が気化して膨れが発生します。
様々な下地処理がありますが、どれも疎かにできない工程で塗装の品質を大きく左右します。
下地処理が不十分だと、どんな良い塗料で丁寧に塗っても塗料の性能が発揮されないだけではなく、施工不良がおこる可能性があるので、しっかりと施工を行ってくれる業者を選ぶ事が重要です。